#110
宝塚音楽学校の文化祭前夜、冬子に照子には内緒で夏子からの電話がかかってくる。
(夏子)仕事忙しくて行かれへんけどごめんね。初舞台には必ず行くから明日頑張ってな。
(冬子)私、歌も踊りも下手やけど夏子姉ちゃん目指して頑張る。ほんまに電話くれてありがとう。
夏子は何か言いかけてやめてしまった。
照子に呼び止められてビクビクする冬子。
何?
(照子)頑張んなさいよ。あんたのできること精一杯やったらええんやから。
うん。
文化祭当日。
商店街のみんなも観にきてます。
和ちゃんも一緒です。
ケセラセラやで冬ちゃん。ケセラセラは冬子と和人の合言葉みたいなもの。
舞台が始まる前の掛け声を冬子がする。
サンサンサーンや!
人生の晴れを願ってそう言うねん!
冬子は琴を披露する。
あんたにそっくりや。あの子が集中してる時の顔、あんたがパン作ってる時の顔とそっくりや。
冬子の晴れ舞台を真剣に観ている和人
冬子は出番は多くない。
演劇でも台詞は少ない。
でも冬子は夢中でした。
そしてその舞台を夏子がこっそり観に来ていました。
つづく。
夏子はほんとは忙しくないんです。
それを照子には知られたくなかったんでしょうね。
舞台の冬子を見る和人の目が眩しそうでした。